北千束COCOON

都心に建つミニマムなワンルームが中心の賃貸マンション。事業性を限界まで引き伸ばして数センチ単位で調整をしながら最大戸数を確保しつつ、「小さくとも狭くない」しつらえをデザインする一方で、防火性能の問題からおそらく現時点(2022年)ではほとんど存在しないであろう、都心RCワンルームマンションでの「樹脂サッシ/ペアガラス」を採用した建築である。

ワンルームマンションはそのインテリアの小さと換気性能の低さ、何より断熱性能の低さから、結露とカビがセットであるのが普通とさえ言える物件が多いが、断熱性能は窓から担保されることから、窓の性能をあげ断熱材(フェノールフォーム厚50)を施すことで室内環境を改善し、快適と省エネルギーで(貸主、借主共に)長期的メリットのある建物とすることができた。

賃貸住居はある意味社会的セイフティネットの役割があり、高性能な選択肢が増えることで社会的な豊さへとつながると考えられる。特にこのような安価な賃貸住戸は、人々が人生の中で初めて自分の意思で選ぶ住居タイプと言えることから、これからのスタンダードとして高性能がデフォルトという意識が広がることで、社会での住居の性能がボトムアップされることを期待する。今後も多く手がけていきたい。

所在地:東京都大田区

用 途:賃貸マンション(RC造3階建)

完 成:2022年

計 画:新築

撮 影:中村 晃